求めていた「エースの知見が自然に蓄積される仕組み」

2025.09.16

  • SaaS

株式会社マネーフォワード
リーガルソリューション本部様

「AIで信頼できる仲間をつくる」ーー 少しSF的にも聞こえるこのビジョンを掲げるAIセールスエージェント「Effic」に共感し、活用を始めた企業があります。マネーフォワードのリーガルソリューション本部です。

属人化しがちな営業ナレッジを、いかに人手をかけることなく組織の形式知にしていくか。「エースが日々商談しているだけで知見が溜まるような仕組み」を探し求めていた同部署にとって、Efficの思想は理想に近いものでした。

Efficの導入からわずか2ヶ月。新卒メンバーがデータに基づく指導で数週間後に初受注を達成するなど、現場では変化が生まれ始めています。

Efficの活用に起きた変化や今後の展望について。今回はリーガルソリューション本部本部長の髙木さん、営業の印南さん、営業部長の浦田さん、そしてEffic代表の菅藤の対談をお送りします。

株式会社マネーフォワード
マネーフォワードビジネスカンパニー
リーガルソリューション本部
本部長 髙木 雅史
営業部 部長 浦田 文恭
営業部 リーダー 印南 絵梨


求めていたのは「エースが日々商談しているだけで知見が溜まる仕組み」

菅藤 : 僕はEfficを立ち上げた当初から、「AIで信頼できる同僚をつくる」という少しSF的なビジョンを描いていました。まずは営業領域で知識を蓄積し、ユーザーへ還元していく。そのサイクルを回す中で働く人の創造力を引き出し、人の能力が拡張されていく世界を実現したい、と。

最初に髙木さんとお会いしたのは2025年の4月頃でしたね。機能の細かい説明というよりも、Efficの思想や目指している世界観について熱くお話したことを覚えています。

髙木 : そうでしたね。

菅藤 : その後すぐに「現場でどう使えるか」という議論へ進んだと記憶しています。そこからトライアルと隔週の壁打ちを重ね、約1カ月で本格導入の意思決定をいただきました。あのスピードには本当に驚きました。

髙木 : リーガルソリューション本部は、永続的な成長のために、正社員だけでなく業務委託の方々も含めた体制を組んでいます。

これは優秀な人材のリクルーティングだけでなく、正社員の若手メンバーに向けた成長機会の提供という観点でも重要です。たとえば印南は新卒3年目にしてリーダーとして活躍してくれていますが、それは早い段階から業務委託の方々とチームを組み、周囲の人に仕事をお願いしながら結果を出していくというマネジメント経験を積んだからこそです。今後入るメンバーにも、そのような機会を用意したいと思っています。

ただし、そのような体制にはリスクも付き纏います。仮に経験を積んだ業務委託の方が急に交代になった際に、一時的に「商談の出力」が落ちる可能性がある。つまり、メンバーの入れ替わりが発生しても、常により良い商談体験をお客様に届け、維持できるための仕組みを作ることが、1つのテーマでした。

これまでは、印南や浦田が商談の動画をまとめたり、細かく知見を整理したりすることで、いわゆる「オンボーディング」の部分を担保してくれていました。そのなかで今後チームがさらに拡大していく状況において、そこにかかる時間をもっと短く、よりスムーズにできないかを模索していたんです。理想としては、「エースが日々商談しているだけで知見が溜まる仕組み」を求めていました。そこがEfficの機能や思想と合致したんです。

菅藤 : 印南さんはどのような形でチームマネジメントをされていたんですか?

印南 : 私はフィールドセールス(FS)の業務を始めて1年目に、2名の業務委託の方と形成したチームを率いる立場になりました。自分のFS業務もあったため、全ての情報共有を口頭でしていては回らない。同じような質問を受けることも多かったので、たとえば「競合分析の結果」「申込書の作成手順」といった情報を、社内ナレッジツールに地道に記事にして蓄積するようにしていました。

案件管理についても、商談を録画してもらい、そのデータを見てコメントするようにしていました。ただ、フィードバックの内容がどうしても自分の判断に寄ってしまう感覚があって。「自分をもう1人つくる」ことになっては意味がないので、その塩梅が難しかったです。

髙木 : 立ち上げ当初はメンバーも少なかったので会話をすれば済む状態でしたが、新しい人がどんどん入ってくると、コンテクストまで全員に共有するのが困難になります。記事化は必要でしたが、印南の知見も日々更新されていくので、記事化した知見もすぐに古くなってしまうんです。だからこそ、新しい知見が自然に溜まり、継続的にブラッシュアップされる状態が必要だと考えていました。

商談後に「Efficを開いてにっこりすること」がルーティンに

菅藤 : Efficを導入いただいてから、2ヶ月ほどが経ちました。現在はどのようなシーンでEfficを活用いただいていますか?

印南:私は商談が終わったら、まずEfficを開いて「にっこり」してから反省会に入るのがルーティンになりました。Efficの分析を見ていると、自分では気づいてなかったような発見も多いんです。例えば競合の情報についてはしっかり潰せたと思っていても、別の角度から不足を指摘されることもあります。

菅藤 : チームマネジメントという観点ではいかがですか?

印南: 案件の状況を把握したい時、以前は「Salesforceに入力された内容」か「商談録画」を見るしかありませんでした。前者は人によって記載の甘辛や解釈の違いが出ますし、後者は「どこで何を話しているのか」がわかりにくく、時間がかかります。

その点、Efficでは議事録が細かいセクションごとに整理されるので、全体像を把握してから、ポイントを絞って効率的にフィードバックできるようになりました。

浦田:私の場合、いちばん重宝しているのは「商談分析」です。各商談の有効性がS/A/Bといった形で判定され、さらに複数の観点を踏まえて20点満点でスコアリングされるので、案件の優先度づけや商談の客観的な振り返りに大きく役立っています。

業務後にSalesforceへ所感を入力する際は、Efficを一緒に開いて分析結果や議事録を確認しながら進めてます。Efficは単なるファクトの列挙にとどまらず、「次はこういう質問をしてはどうですか」といった提案をくれるので、次回以降のアクションに直結するTipsとしても価値があるんです。

伸び悩んでいたメンバーが“導入後1ヶ月で成約”の舞台裏

菅藤 : 髙木さんは全体を統括される立場ですが、どのような変化を感じますか?

髙木: 印象に残っているのが、新卒メンバーの声です。Efficを使い始めて「ゲーム要素があって面白い」と言っていました。判定結果を見ながら「どうすれば点数を上げられるか」を考えて工夫するのが楽しい、と。

もちろんそれがお客様への価値提供につながっていることが前提にはなりますが、Efficのフィードバックを前向きに受け止め、「次はこうやってみよう」と試行錯誤するサイクルが生まれているのは良い兆しだと思います。

SaaSの営業においては、どうしても毎日同じような商談が続く時期があります。そんな中でも「昨日と同じ」にならない工夫を自ら積み重ねていける人は、本当に大きな才能の持ち主だと常々感じているんです。

そんな「ジョブ・クラフティング」の力があれば、これから先、どんな仕事だって楽しめると思います。そんなジョブ・クラフティングを自然と後押ししてくれるのは、Efficの副次的な効果の一つだと感じました。

実際、その話をしてくれたメンバーは、Efficを活用し始めてから数週間で初受注に至りました。本人もチームも驚くくらいの速さでした。

菅藤: きっかけは、新卒3年目の印南さんが成果を出しているように、他の新卒のメンバーも同じような可能性を秘めているはず、という議論でしたよね。ただ、その成功要因を科学できていなかった。

印南:そうですね。私やメンバーの中でもクロージングが課題という肌感はありましたが、主観的なアドバイスに留まっていたのだと思いました。そこにEfficの裏付けが加わったことで、「やっぱり課題だったんだ」と本人の認識も深まり、行動に向けて背中を押すことができたのだと思います。

その方はとても優しく丁寧な性格です。お客さまの気持ちに必要以上に配慮するあまり、あと一歩が踏み込めなかったのかもしれません。しかし今はその課題を乗り越え、踏み込んで聞けるようになってきています。

浦田:今ではメールのやりとりにおいても、誰よりも細かく期限を切って、他の人の参考になるぐらい優秀な営業パーソンになってくれています。

AIを「悪者」にするような使い方でも良い

髙木: 先ほどのメンバーのエピソードと重なる部分もありますが、私は菅藤さんと最初にミーティングをした時のことがすごく記憶に残っていて。商談後に「私の商談は20点中12点でした」と菅藤さんが苦笑いしながらも楽しそうに話してくださったのが、すごく良いなと思ったんです。

菅藤: 私は商談中についつい作り手として想いの部分を熱く語りすぎてしまう癖がありまして、自分の中で満足感はあっても、Efficのスコアはあまり高くないんです(笑)。

ちなみに、人は正論を突きつけられたとき、それを素直に聞いて行動を正すのかという問いがあります。

みんな良かれと思って頑張っているけれど、成果に結びついていない場合がほとんどです。それに対して「結果はダメでした。ここが良くないです」と正面から突きつけられても、なかなか素直に受け入れられないですよね。

だからこそ、どれだけ相手の気持ちを汲み取れるかが、Efficにおいても重要なテーマです。 「AIによって人が喜び、能力が拡張される」ためのプロダクト設計は本当に繊細だと感じています。

印南:たしかにそうですね。私もメンバーに対して、 1on1の時間をもらって「こういう結果が出ているけど、実際にやってみてどう感じた? 私はこんな良いところもあると感じているけれど、その部分はAI(Effic)のフィードバックには反映されていない指標だと思う」とフォローしながら伝えるようにしたんです。

経験の浅い人にとって、バイネームで誰かと比較されてしまうと、点数が低くなるのは必然的なことだと思うんです。

成長の実感や楽しさを感じやすくするのであれば、過去の自分と比べて現在の自分がどう変わったのかがわかるようになると良いかもしれません。

菅藤: 人と人のコミュニケーションの間にAIを入れることで、時にはAIを“悪者”にするような使い方があっても良いと思うんです。「AIはこう言ってるけど、君が頑張っていることを私は見ているよ」といったように。

AIが捉えているのは一側面ですからね。間に機械的な存在がいることで、そのような会話ができるようになれば、結果としてメンバーの自律的な成長にもつながっていくと考えています。

Efficが変える新しいプロダクト開発のありかた

髙木:これまでの立ち上げ期では、プロダクトの長期的なロードマップは基本的に私が決め、営業からの声を翻訳して開発に伝える──そんな構造で動かしていました。

ですが、事業が0→1を超えて1→10、さらに10→100へと広がる段階に入ると、それでは限界があります。マネージャー経由で翻訳された情報では、現場のリアルな声が届く前にどうしても加工されてしまう。だからこそ、開発メンバー自身が一次情報(VOC)に直接触れ、VOCと壁打ちをしながら意思決定できる体制に変えていく必要があると強く思ったんです。

例えば開発のスケジュールに少し余白ができたとき、従来のように「ビジネスメンバーに聞いてみる」のではなく、エンジニア自身がEfficに入り「今こんな課題やニーズがある」と判断して実装を進められる。そういう状態になれば、営業も「もっとお客様の声を集めよう」「売れないなんて言っていられない」という気持ちになります。

菅藤:実は今、Efficのチーム内ではその状態が生まれつつあります。営業は私ひとりですが、商談データがEfficに溜まるとエンジニアが自分たちで見に行き、お客さんからの声を自ら確認するのです。こうした体験を今後はユーザーの皆さんにも開放していきたいと考えています。 (補足:「Efficチャット」は2025年9月末にユーザー向けリリース予定です。)

髙木: 素晴らしいですね。まさに理想形ですし、それを100人を超える規模でも実現できるチームでありたいと思っています。

「営業はラボである」という考え方

髙木:営業はもちろん「売上をつくる」という意味で会社をリードする部門ですが、私たちはメーカーなので、営業は「ものづくりの最前線」にいる存在でもあると思っています。

お客様が私たちの仮説に賛成してくださるのか、そしてお金を払っていただけるのか。その感覚値を一番近くで得られるのが営業です。だからこそ営業は「プロダクトを良くしていくための仮説検証」の場であり、その存在意義はむしろ高まってきていると感じています。

どのような伝え方をしたらプロダクトの価値がより伝わるのか。プロダクトをどう見せたら買っていただけるだけの意思決定に繋がるのか。多くのユーザーと対話するなかで3年後のプロダクトはどうあるべきなのか。開発チームが考えている未来はユーザーの信頼を獲得できるものなのか。髙木がいつも熱っぽく語っているプロダクトの価値は本当に合っているのか笑。。

営業メンバーにはそういうところに時間と頭を使ってほしいと思っていて、すなわち「営業はラボだ」という発想になるのです。

菅藤:ものすごく共感します。営業には「標準化して生産性を上げたい要素」と「お客さんごとに違うからこそ面白い要素」が混在していますが、その両立が大事だと思うんです。標準化だけでは仕事がつまらなくなる。お客様ごとに「こんな発見があった」「こんな学びがあった」と気づけるほうが絶対に面白いですよね。

そして、その発見は必ず「ベース」があるからこそできるものだとも思います。ベースがあることで、新しい発見やアドリブが生まれて、仕事がもっと楽しくなる。

髙木:まさにそうです。ベースが整っているからこそ、今のプロダクトではまだできないけれど、少し背伸びすればもっとお客様に喜んでもらえるかもしれない──そういうチャレンジの幅を見つけ出すことが可能になる。そこに新しい価値が生まれると思っています。だから営業には、単なる商談の積み重ねにとどまらず、次の事業をつくる気持ちで日々臨んでほしいです。

Efficを通じてベースを早く整え、みんなでプロダクトを良くし、お客様に喜んでもらいながら自分たちも成長していける環境をつくっていきたいですね。

菅藤:それに関連して、印南さんからリクエストをいただいていた「拡張検索」の機能をもうすぐリリースできそうです。

バックオフィスSaaSのプロダクト開発というものは、しばしば法改正など世の中の大きなイベントに引っ張られる「イベントドリブン」な性質を持っています。その際に重要なのは、お客様が環境の変化をどう感じているのか、どんな不安や課題を抱えているのかを、いち早くキャッチアップすることです。

従来のようにセールスの全員に対して「どの商談で誰が何を話したか」を確認していては間に合わないし、漏れも出てしまう。そこで、直近の商談から、気になる話題を横断的に検索し、すぐ取り出せるような仕組みが必要とされます。この機能が整ってくれば、髙木さんがおっしゃっていたように「一次情報を基に、みんなでフェアに判断する」体制に一歩近づくはずです。

髙木:本当にすごい開発スピードですね。プロダクトを次の段階に押し上げるものは、やはりお客様の声の中にあります。そしてそれは往々にして「外れ値」だったりする。今すでに顕在化している課題に応えるだけなら、連続的な成長にとどまります。でも「そんなニーズがあるのか」と気づかされるような外れ値を捉えられるかどうかで、新しいプロダクトに発展していく可能性が広がるんです。

エース級の人材がマネジメント層になって社内業務に比重を置くようになると、過去の成功体験もあり、どうしても現場の外れ値に気づきにくくなることもある。だからこそ、一次情報をどう捕まえていくのかという点は、これからも大きく投資していくべきテーマだと思っています。

人間の可能性を広げるAI

菅藤: ここまで具体的な取り組みや効果について伺ってきましたが、最後に「これからの展望」についてもお聞きしたいです。

髙木: 営業の役割は単にお客様の業務とプロダクトの価値をつなぐことにとどまりません。それはすでに当たり前にできることとして、その先の役割を果たしていくべきだと考えています。

よく「営業は会社の顔」と言われますが、現実には「このプロダクトをどう売るか」という役割に極小化されがちです。Efficのような仕組みがあることで、営業は本来の役割に立ち戻ることができると期待しています。また、Efficは暗黙知を形式知化できるプロダクトですから、組織づくりにも直結すると考えています。

ただ、こうした考え方を是とするチームを作るには「透明性」と「受容性(受容力)」が不可欠です。

大事なのは「できていない」といって隠したり責めたりするのではなく、「ここから積み上げていけばいい」と前向きに捉えられるかどうか。たとえば50点が52点になり、それを何度か繰り返していけば合格に届く。やがて100点を取れるようになる。そうした進捗を実感できれば、自分の改善点を素直に受け止められるし、チームとしても成長につながるはずです。

組織に透明性を実装するのは難しいことですが、「公表されたことで改善につながった」と実感できる仕組みがあれば、それは強い武器になります。Efficは、そのアクションを生む良い仕掛けになると思っています。

菅藤: 今日のお話を振り返っても、やはり「一緒に働く人の心とどう向き合っていくのか」が大きなテーマになると感じました。

世の中には才能や素質があるのに、自信がなくてそれを発揮できなかったり、低い評価に甘んじてしまっている人がたくさんいると思うんです。「ここを頑張ればもっと良くなる」ということを誰からも教えてもらえないまま、終わってしまう人も多い。

だからこそEfficのようなAIが、それを可能性を見つける助けになればと考えています。「変えるのは視点だけ、自分は自分らしくて良いんだ」と前向きに捉えられれば、営業がもっと楽しくなる。そして、お客様に喜んでもらえることが一番だと実感できるはずです。

その経験を通じて営業を続けるかもしれないし、将来は別の道に進むかもしれない。でも「できなかったことができるようになった」という喜びや自信は一生残ります。それを第三者的に支えられるのはEfficの大きな価値だと信じています。印南さんと後輩のエピソードを聞いて、本当に嬉しい気持ちになりました。